更新履歴(2026-08-18)
初回公開の回路には、コルピッツ帰還の下側容量(Ce)に相当する部品がありませんでした。今回、この容量をC4として明示的に追加し、あわせてチョークインダクタ(L1)を1μHに変更しています。詳しい経緯は記事末尾の 回路変更の経緯 を参照してください。
高周波回路の電子工作ハンズオンとして、材料費500円ほどでFMラジオを作れないか検討した結果、 ブレッドボードを使って東京タワーから送信されているTOKYO FM(80.0MHz 10kW)を受信できる超再生ラジオの製作方法に行き着きました。 関東平野限定ではありますが、“東京タワーの電波を掴め!ブレッドボードで作る超再生FMラジオ” として、その作り方を紹介します。
(スカイツリーから送信されている J-WAVE 81.3MHz 7kW も受信できますが、80.0MHzちょうどという数字がキャッチーなため、今回はTOKYO FMをターゲットにしています)
今回の製作にあたり、以下の文献を参考にさせていただきました。
千葉大学教育学部 FMラジオ作製教材の検討
こちらをベースに、入手しやすい部品にカスタマイズしたものをお送りします。
今回の回路図とオリジナルからの変更点
千葉大の作例(2SC1923等を使用)から、今回のハンズオン用に以下の変更を加えています。
1. トランジスタを2SC3355Lへ変更&定数最適化
作例の定番である2SC1923(fT:550MHz)や、海外通販でよく見るSS9018(fT:1.1GHz)でも動作しますが、今回は2SC3355L(fT:7GHz)をメインに据えました。
高周波の増幅パワーが段違いなため、イヤホンからの音量が大きく聞こえるようになります。
この変更に伴い他の部品の定数も変更しました。
C1(アンテナキャパシタ):1pF
容量が大きいと、アンテナ側にエネルギーが逃げて発振が止まってしまいます。
1pFという極小の容量で結合させることで、強力な発振を維持したまま電波を取り込みます。
R1(ベース抵抗): 22kΩ
オリジナルは100kΩの可変抵抗を使っていますが、調整変数が増えるのを避けるため固定化しました。 トランジスタの暴走を抑えつつ、最も美味しい発振状態(超再生)を維持しやすい値に調整しています。
2. コルピッツ帰還の下側容量(C4)を追加(2026-08-18更新)
超再生発振の帰還は、コレクタ側のC3とエミッタ〜GND間の容量(C4)の比で決まります。今回はこのC4を10pFのキャパシタとして明示的に追加し、あわせてチョークインダクタ(L1)の値を1μHに変更しました。 手巻きではなく市販のマイクロインダクタを使うことで、再現性を上げています。
回路図
実体回路
80MHzという高い周波数を扱うため、ブレッドボードへの配置次第で動作が大きく変わります。組む際は以下を意識してください。
- L2(同調インダクタ)とC2(トリマキャパシタ)は、できるだけ近くに挿す
- この2つを結ぶ配線が長いと、そこ自体がインダクタとして働いて同調周波数がズレます
- C3・C4(帰還用)もQ1の足元にまとめて配置する
- ジャンパ線は必要最小限の長さにし、ブレッドボードの上を這わせるように挿す
- 宙に浮いた長い配線はアンテナのように振る舞い、不安定な発振の原因になります
主要パーツリスト
ほぼ全て秋月電子通商で揃えることができます。 (セラミックイヤホンは取り扱いがないかもしれません)
| 部品名 | 回路記号 | パーツ名・数値 | 数 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| トランジスタ | Q1 | 2SC3355L | 1 | SS9018でも可 |
| チョークインダクタ | L1 | 1μH | 1 | DC帰路としてRFを阻止する本来の役割を果たす値 |
| レジスター(抵抗器) | R1 | 22kΩ | 1 | Q1のベースバイアス抵抗 |
| R2 | 1kΩ | 1 | Q1のエミッタ抵抗 | |
| キャパシタ(コンデンサ) | C1 | 1pF | 1 | アンテナ結合用(積層セラミックタイプで良いです) |
| C3 | 5pF | 1 | Q1帰還用・上側(積層セラミックタイプで良いです) | |
| C4 | 10pF | 1 | Q1帰還用・下側(積層セラミックタイプで良いです) | |
| C5 | 1000pF | 1 | クエンチ時定数用(積層セラミックタイプで良いです) | |
| C6 | 100pF | 1 | 高周波バイパス用(積層セラミックタイプで良いです) | |
| 有極性キャパシタ | C7 | 10μF | 1 | (電解コンデンサー で検索) |
| トリマポテンショメータ | RV1 | 3kΩ | 1 | (半固定ボリューム で検索) |
| セラミックトリマキャパシタ | C2 | 20pF | 1 | (セラミックトリマーコンデンサー で検索) |
| セラミックイヤホン | LS1 | 1 | ブレッドボードに挿せるタイプがおすすめ | |
| ミニブレッドボード | 1 | 170穴以上のタイプ | ||
| 0.65mmポリウレタン線 | L2 | 200mm | 同調インダクタ用 | |
| ビニール被覆線 | AE1 | 940mm × 2本 | アンテナ用 | |
| 電池ボックス | 単3x1本 | 1 | 1.5Vで動作します |
- ブレッドボードについて慣れていない・他の工作もしたい人は400穴タイプの方が良いです
- 予算を抑え、コンパクトにするために170穴にしています
- ポリウレタン線やビニール被覆線はあるもので構いません
- ただしポリウレタン線については太さが違うと巻き数などを変える必要があります
- スマートフォンや音楽プレーヤー等で使われる一般的なイヤホンを繋いでも、インピーダンスが低すぎて動作せず音は聞こえません
- アンプ回路を通さない本構成では、必ずハイインピーダンスなセラミックイヤホン(クリスタルイヤホン)を使用してください
同調用のインダクタの作り方
今回の制作で最もデリケートな部品が、0.65mmのポリウレタン線(UEW)を手巻きして作る同調用インダクタ(L2 コイル)です。 高周波回路では、インダクタの形状の歪みがそのまま周波数のズレや感度低下に直結するため、以下の手順で正確に製作します。
ステップ1:適切な心棒を用意する
直径5mmの円柱状の棒を用意します。 ホームセンターに太さが均一な5mmのアルミ・真鍮棒・プラスチック棒を切って使うのがおすすめです。
ステップ2:密着巻きで7回巻く
0.65mmのUEW線を200mm程度でカットします。 線同士の間に隙間が空かないよう、指の腹でしっかりと引っ張りながら、心棒に沿って隙間なくピタリと7回巻き付けます。 巻いた後に指を離すと、線の反発力で直径がわずかに広がりますが、7回きれいに巻けていれば問題ありません。
ステップ3:足を90度クランク状に曲げる
心棒に巻いた状態のまま、インダクタの両端から出る足を直角に曲げます。 足の長さはブレッドボードにしっかり刺さるよう、約10mm〜15mm残してカットします。 足が斜めに出ていると、ブレッドボードに刺した際にインダクタ本体が引っ張られて歪み、インダクタンスが狂う原因になります。
ステップ4:先端の被覆を確実に剥離する
ポリウレタン線は表面が透明な絶縁皮膜で覆われています。 ブレッドボードの内部バネと確実に導通させるため、足の先端から約5mm〜7mmの範囲を、半田ごてとハンダを使って溶かしてください。 紙ヤスリを使って円周すべて均一に削り落とす方法もありますが、なかなか大変です。 皮膜の削り残しは接触不良の原因になります。
ダイポールアンテナを作る
東京タワー(JOAU-FM 10kW)からの電波を効率よく受け止めるため、作るのが簡単で電波をキャッチしやすいダイポールアンテナを作りましょう。
- 940mmの被覆線を2本用意します。(80MHzの1/4波長。2本合わせて半波長になります)
- 片方をブレッドボードのアンテナ入力(C1の手前)に挿し、垂直にまっすぐ立てます。
- もう片方をブレッドボードのGNDライン(電池のマイナス側)に挿し、真下(床方向)へダラリと垂らします。
これで半波長ダイポールアンテナとして機能します。
なお、鉄筋コンクリートの建物だと電波が遮断されて受信が厳しいので、実験は必ず窓際で行ってください。
超再生のチューニング手順
回路に間違いがなくても、ここからの調整がこのラジオ最大の難所となります。 特にセラミックトリマーキャパシタは小さく可動範囲が狭いため、少しずつ慎重に調整しましょう。
ステップ1:発振の開始点(ホットスポット)を探す
- 電源を入れ、トリマポテンショメータ(RV1)をGND側からゆっくり上げていきます。
- あるところで、イヤホンから「サーーー」または「シャー」という力強い超再生ノイズが出始めるので、そこで止めてください。
- 状況によっては「ピーーー」という高い異常発振音が鳴ることがあります。その場合は、ツマミを少し進めてピー音が消えて、シャー音鳴る境界線で止めてください。
ステップ2:チューニングする
- ドライバーを使ってトリマキャパシタ(C2)を少しずつ回します。
- ほんの少し動かす -> 手を完全に離して3秒耳を澄ます を繰り返します。
- 東京タワーの電波(80.0MHz)を捕まえた瞬間、「シャー」というノイズが消えてTOKYO FMの番組音声が聞こえてきます!
回路に手が近づくだけでボディエフェクトにより周波数がすっ飛ぶため、パーツには手を触れないようにしてください。 また、可能であれば金属のドライバーではなく、プラスチックやセラミックのマイナスドライバーを使うのが良いです。
スペクトラムアナライザで同調点を確認する
超再生ラジオの調整はシャー音を頼りに耳だけで探すのが基本ですが、tinySAのような小型スペクトラムアナライザがあると、いま回路がどの周波数で発振しているかを目で見て確認できます。 ハンズオンで参加者の回路が鳴らないとき、原因が発振していないのか、発振はしているが周波数がズレているのかを切り分けられるため、調査の効率が段違いに上がります。
なぜ測定できるのか
超再生検波回路は、それ自体が80MHz付近で発振している小さな送信機でもあります。 発振周波数はL2とC2で決まる同調周波数とほぼ一致するため、この漏れ出た電波を測ってやれば、そのまま受信したい周波数の実測値になります。
測定の手順
- 入力に適当なアンテナ(付属のロッドアンテナなど)を取り付けます
- アンテナを回路のL2から5cm〜10cmほど離した位置に置きます
- 計測範囲を70MHz - 110MHz程度に設定します
- FM放送帯全体が視野に入り、80.0MHzがどのあたりかを把握しやすくなります
- 回路の電源を入れ、RV1を回して超再生ノイズ(シャー音)が出る状態にします
- 放送波よりも鋭く立ち上がったピークが現れます。これが発振周波数です
読み取り方と調整
- ピークが見えない場合
- 発振していないか、同調周波数がズレています。
- RV1の位置、Q1の向き、C3・C4の実装、電池の電圧を確認してください
- C2(トリマキャパシタ)を回してピークを80.0MHzへ寄せます
- C2を回しきっても届かない場合はL2の巻き数が原因です。周波数が低すぎるなら巻きを減らし、高すぎるなら1回増やします
- 発振していないか、同調周波数がズレています。
- ピークが80.0MHzに乗った場合
- あとは耳での微調整です。スロープ検波のためピークのど真ん中ではなく、わずかにズラした位置で音がいちばんクリアになります
C2を回すとピークがリアルタイムに左右へ動くため、トリマキャパシタの可動範囲がどれだけの周波数幅に相当するのかを体感できます。 参加者にとってはコイルと容量が周波数を決めているという事実が目で見える瞬間になるので、ハンズオンの見せ場としても有効です。
測定時の注意
- スペクトラムアナライザの入力は過大入力に弱いため、回路の出力を直接同軸で入れずに、必ずアンテナを使って空間経由で拾ってください
- 測定器や手を近づけるとボディエフェクトで周波数が動きます。ピークを読むときは手を離した状態で確認します
回路の説明・パーツの役割について
このラジオ回路のそれぞれの部品は、目に見えない電波を音声信号へと変換する重要な役割を担っています。
1. 電波をキャッチする
- AE1(アンテナ)
- 電波を集める網として、空を飛んでいるFM放送の電波(高周波エネルギー)をキャッチします。
- C1(1pF キャパシタ)
- 回路への門として、外からの電波はギリギリ通しつつ、回路の中で作ったエネルギーが外へ逃げ出さないように守ります。今回は、わざと少ししかエネルギーが通らないくらい狭い門にしています。
2. 必要な電波を抜き出す(同調)
- C2(20pF トリマキャパシタ)
- 蓄電容量を変えることで、電気的な揺れやすさ(共振周波数)をコントロールする部品です。
- L2(手巻きインダクタ)
- C2と協調して、狙った周波数の電波と同じ揺れ方の信号だけを通し、目的の放送局を選び出します。
3. 電波の力を大きくして音に変える(発振・検波)
- Q1(トランジスタ 2SC3355L)
- 集まった微弱な電波を何百倍ものパワーに増幅します。また、FM電波の 周波数のズレ を 電気の強さ(電圧)の変化 へと変換する、検波の第一段階も行っています。
- C3(5pF キャパシタ)・C4(10pF キャパシタ)
- トランジスタのコレクタとエミッタの間で電気のエネルギーをぐるぐると送り戻す、コルピッツ発振の帰還経路を構成する一対のキャパシタです。C3とC4の容量比によって帰還の強さが決まり、トランジスタを最も耳が良くなる状態(発振状態)にする役割です。
- L1(1μH インダクタ)
- 高い周波数の電波(FM電波)は通さずにトランジスタ側に閉じ込め、電池から供給された直流の電気だけをGNDへ流すための高周波ブロック(チョーク)です。
- C6(100pF)
- トランジスタから出力され、L1で止められた不要な高周波(FM電波の残りカスなど)をGNDに逃がし、トランジスタを安定させます。
- C5(1000pF)
- 超再生回路の内部で発生する超音波のギザギザした波(クエンチング波)の隙間を埋めるように充放電を繰り返し、滑らかな信号へと平滑化することで、耳で聞こえる音の信号に変換します。
4. 回路の調子を整える(バイアス回路)
- RV1(3kΩ ボリューム)・R2(1kΩ 抵抗)
- トランジスタに流れる電気の強さを調整します。イヤホンから「シャー」とノイズが鳴り始める、一番耳が良くなるポイント(超再生モード)を探し出すためのツマミです。
- R1(22kΩ 抵抗)
- トランジスタが暴走しないよう、ちょうどいい強さの電気をベースに送り込んでコントロールします。
5. 音を届ける(出力回路)
- C7(10μF キャパシタ)
- トランジスタを動かすための直流の電気がイヤホンへ流れるのを防ぎ、検波によって取り出された音の波(交流の信号)だけをきれいにイヤホンへ通します。
- LS1(セラミックイヤホン)
- C7を通り抜けてやってきた交流の信号をそのまま受けることで、内部の圧電素子(セラミック)がその電圧に合わせて震えることで、電気信号を空気の振動(音)へと変換します。
なぜFMの周波数の揺れが音に変わるのか?(スロープ検波)
FMラジオの電波は、強さ(振幅)が常に一定で、音の高さや大きさに応じて周波数が細かく変化して飛んできます。 その一方で、検波に使うトランジスタ(Q1)は、高周波信号の 強さの変化(振幅の変化) しか検出することができません。 そのため、電波から音を取り出すには、周波数の変化をどこかで信号の強さの変化に変換する必要があります。 この重要な変換を行っているのが、L2とC2で作った同調回路の共振曲線の スロープ(傾斜) です。
L2とC2で構成される同調回路は、特定の周波数(共振周波数)で最も感度が高くなる山型の特性を持っています。 TOKYO FMの80.0MHzを受信する場合、あえて感度がピークになる80.0MHzジャストには合わせません。 ピーク位置では傾斜が平らなため、周波数が変化しても強さがほとんど変わらず、音が歪んで非常に小さくなってしまうためです。 そこで、同調点をほんの少しだけ左右にズラし、感度のグラフが急激な坂道(スロープ)になっている斜面に80.0MHzが位置するように調整します。
この坂道にピントが合っている状態で、飛んでくる電波の周波数が変化すると、次のような現象が起きます。(同調周波数を少し高めにズラした場合の例)
- 電波の周波数が高くなる 共振点に近づくため坂道を駆け上がり、信号の電圧が大きくなる
- 電波の周波数が低くなる 共振点から遠ざかるため坂道を駆け下り、信号の電圧が小さくなる
このように、電波の周波数の揺れが坂道の傾斜を上り下りすることで、そのまま高周波信号の強さの揺れへと変換されます。 このスロープによって生まれた振幅の揺れを、トランジスタで整流し、C5(1000pF)などで余分な高周波成分を滑らかに平滑化することで、耳に聞こえる音声信号を取り出すことができます。
同調点を高めにズラすか、低めにズラすかで周波数と振幅の増減関係は逆になりますが、どちらの斜面を使っても同じように音として復調されます。 実際にダイヤルを回すと、放送が聞こえるポイントが隣り合って2箇所存在し、その中間では音が消えたり歪んだりするスロープ検波特有の現象を体験できます。
プリント基板での実装
今回の回路をプリント基板(PCB)で実装してみました。
ブレッドボードは内部配線による寄生容量が大きく、本来80MHzのような高周波は無理があるため、このように基板で実装した方が安定性が高く受信しやすくなるはず、という考えのもとプリント基板にしてみました。 しかし、多少良くなった程度で、周辺環境の静電容量の変化に敏感な点などはあまり変わりませんでした。 ハンズオンではそれぞれの実装により感度や受信しやすさの違いを比較してみるのも良いかもしれません。
回路・PCBデータ(KiCAD 10)
回路変更の経緯(2026-08-18追記)
更新前の回路をプリント基板で実装したところ、発振しなくなる問題に気づきました。 原因を追っていくと、公開当初の回路にはコルピッツ帰還のエミッタ側容量(Ce)に相当する部品が存在せず、その役割をL1(チョークインダクタ)の自己容量と、ブレッドボードやユニバーサル基板の配線が持つ浮遊容量が肩代わりしていたことがわかりました。この帰還はコレクタ側のC3とCeの比で発振の強さが決まります。
10μHのチョークでは自己共振周波数がFM帯より十分高く、自己容量はごくわずかなため、Ceとして機能する容量が足りず発振しませんでした。 そのため、33μHや47μHに変更したところ発振しましたが、これはチョークとして働いたからではなく、FM帯ではとうに自己共振を超えており、結果として数pFのキャパシタとして振る舞ったためではないかと考えられます。 つまり チョークの自己容量と、ブレッドボードの配線が持つ浮遊容量とが偶然合算されてCeが確保された状態 で、この容量値は基板の差やパーツの個体差で変動し、再現性に乏しいものでした。 それがPCB化によって浮遊容量が大幅に減った結果、この偶然のCeが不足して発振しなくなったためでした。
最終的にCeをC4(10pF)として明示的に追加し、チョークは本来の役割(DC帰路としてRFを阻止する)を果たせる1μHに変更しました。 これにより帰還比が回路図から計算できる値になり、実装ばらつきの影響も大幅に減っています。
C3(コルピッツ帰還・上側)は最終的に5pFに確定しています。 以下の帰還比はこのC3=5pFを基準に、チョークの自己容量がCeとして働いていた場合と、C4を追加した場合とを比較したものです。
定数比較
| チョーク値 | 実効Ce(80MHz) | 帰還比 n = C3/(C3+Ce) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 10μH(オリジナル) | 数pF未満(概算) | 帰還不足 | 発振せず |
| 47μH(旧版の値) | 自己共振超過による自己容量(不定) | 個体差あり | 動作したが再現性が低い |
| 1μH + C4=10pF(最終) | 6.04pF | 0.453 | 設計値として確定、再現性あり |
ハンズオンなどを行う場合に考慮する点
- ブレッドボードの仕組みについて事前に説明する
- この回路は単3電池1本(1.5V)で動作するので、LEDを点灯する回路をまず作り、その流れでFMラジオを組み立てるとスムーズです
- 調整がシビアなため付き添いを推奨
- TOKYO FMの場合は東京タワーから20km圏内でないと厳しいかもしれません
- セラミックイヤホンが入手できない場合は、音声信号をオペアンプ(LM358など単電源のもの)で増幅することを検討する
- tinySAなどのスペクトラムアナライザを1台用意しておくと、発振の有無と周波数のズレをその場で判定できるため、原因究明にかかる時間を大幅に短縮できます
まとめ
専用のラジオを使えばいつでもクリアなラジオ音声が聴けますが、自分で組んだわずかなパーツの回路によって電波を検波して聞いた音には、独特のリアリティと感動があります。
パーツ代はわずか数百円と、手軽に挑戦できる高周波回路の電子工作です。
ぜひ窓際にブレッドボードを持ち出して、東京タワーからの電波を掴み取ってみてください!