電波探索(フォックスハンティング)用のiBeacon送信・受信機 B-Fox を作成し、オープンハードウェアとして公開しました。 単純に電波発信源を探す遊びのほか、謎解きの要素としても活用できます。
GitHub プロジェクト
https://github.com/ayumu-bekki/B-Fox
B-Fox とは
B-Foxは電波探索の遊びに特化しています。
- 設営のしやすさ
- 免許不要
- 比較的低コスト
- Bluetoothの深い知識がなくても扱えるよう、設定内容をゲームに必要な項目だけに集約
- 視覚的にも遊びのための専用発信機であることが一目で分かるデザイン
- ユーザビリティの向上
- 高出力かつ短い間隔でのアドバタイジングを維持できるよう、大容量バッテリーを搭載
- Bluetooth + iBeacon を使うことで、専用受信機の他iOSアプリでも遊べる
- 電波特性の強化
- 外部アンテナに対応し、圧倒的な飛距離を確保
- 出力設定を柔軟に変更でき、ゲーム・会場に合わせた調整が可能
利用例
電波探索を使った謎解きイベント
ボードゲームイベントにてB-Foxを使った謎解きを、セルフサービス形式で提供しました。
謎解き系参加者の方が多い会場だったので、説明いらずの自由探索スタイルでもスムーズに楽しんでもらえました。
ユーザーの理解度が高い場合、UI/UXを整えるだけで自走できますが、動画と紙面での説明を掲載しました。
なお、会場の広さ(50m×50m)に対して5台の発信機を配置するため、電波強度の調整が肝となります。 強すぎると、受信機が複数のビーコンの電波を受信してしまうため、この会場では最終的に-9dBm (約0.13mW)の電波強度に調整しました。
また、1台目の発信機はスタート地点直近の視認しやすい場所に配置しました。 動作確認を兼ねたチュートリアルになり、プレイヤーが自力でルールを理解できる助けになりますし、 スタッフありでの設営の場合は、実際の送信機の位置と受信機の挙動を説明しやすくなります。
遊び方
主催者側で必要な対応
- 送信機(ビーコン)3〜5台の設置
- 各ビーコン設置場所に置く印(スタンプ・QRコード・合言葉など)
- エリアマップ(任意)
- 専用受信機(任意)
- または参加者がiOS端末を利用する(B-Foxアプリ)
ゲームの流れ
- 主催者がビーコンを会場内に隠して配置する
- 参加者は受信機を持って会場を歩き回る
- 受信機に表示される電波強度(RSSI)を頼りに、信号が強くなる方向へ進む
- ビーコンを発見したら、設置された印(スタンプ・QRコード・合言葉など)を記録する
- すべてのビーコンを発見してスタート地点へ戻る
探索のコツ
Bluetoothが利用する 2.4GHz帯は建物や人体で反射・遮蔽されます。
自分の体を盾にして向きを変えながら、信号が最も強くなる方向を探るのが基本的な探索テクニックです。
RSSIが -50dBm 前後まで強くなったら、周囲を目視で探し始めるタイミングです。
既存のiBeacon製品ではダメなのか
電波探索の遊びを市販のiBeacon端末で行うことを検討した際に、いくつか不満な点がありました。
- 展示・マーケティング用途に特化しすぎている
- 遠くに電波を飛ばす想定ではなく、アンテナが内蔵タイプで貧弱なため、十分な飛距離が得られない
- 電池持ちを最優先しているため出力が低く、電波送出間隔も長く受信機の反応が鈍い
- 多機能だが、製品価格が比較的高額で、複数揃えるのがコスト的に厳しい
- 競技・イベント設営での課題
- 製品によって出力を細かく絞ったり上げたりといった、会場に合わせた調整が難しい場合がある
- 設置にiBeaconの知識が必要になる
これらの課題を解決し、誰もが気軽に電波探索を楽しめる専用機が必要だと考え、B-Foxの開発に至りました。
ARDFと比較した設営のメリット
従来の144MHz帯などで行うARDFと比較して、実際の現場での設営・運用において以下のようなメリットがあります。
- 免許不要でどこでも開催可能
- アマチュア無線技士3級以上の資格や局免が不要なため、誰でも合法的に電波探索イベントを主催・運営できます。
- 現場での設定変更が容易
- 送信機のIDや出力強度の変更を、ブラウザ(Chrome/PC経由)から簡単に行えます。
- 設営が簡単
- アンテナを含めてもサイズが小さいため、設置するだけで設営が完了します
- 多様なプレイスタイルに対応する受信環境
- 専用受信機ですぐに遊びを提供できる一方で、iOSアプリを利用して参加することも可能です。
ハードウェア選定
マイコンには Seeed Studio XIAO ESP32C6 を採用しました。
電池の消費効率だけを優先すれば nRF52840 という選択肢もありましたが、開発効率と性能のバランスから ESP32C6 を選択しています。
- 自身の ESP32 での開発経験が豊富であること。
- 技適が通っている外部アンテナを接続できる物理構造を持っていること。
参考:Seeed Studio XIAO ESP32C6について(秋葉原ブログ)
コスト感
主な部品の目安です。プリント基板はKiCadデータを公開しているので、基板製造サービスでまとめて発注するとコストを抑えられます。
送信機(ビーコン)1台あたり
| 部品 | 価格(目安) |
|---|---|
| Seeed Studio XIAO ESP32C6 | 約1,000円 |
| LiPoバッテリー(3000mAh) | 約2,980円 |
| ロッドアンテナ | 約440円 |
| プリント基板 | 約200円 |
| 3Dプリントケース | 約700円 |
| その他(コネクタ、スイッチ等) | 約500円 |
受信機1台あたり
| 部品 | 価格(目安) |
|---|---|
| Seeed Studio XIAO ESP32C6 | 約1,000円 |
| LCDモジュール AQM1602Y | 約500円 |
| LiPoバッテリー(500mAh) | 約1,380円 |
| ロッドアンテナ | 約440円 |
| プリント基板 | 約200円 |
| 3Dプリントケース | 約700円 |
| その他(抵抗、コネクタ等) | 約500円 |
詳細な部品リストと回路図はGitHubで公開しています。
専用iOSアプリ
まとめ
B-Foxは、電波を使った宝探し遊びを、もっと自由で身近なものにするために作りました。
詳細な回路図やプログラムはすべてGitHubで公開しています。
興味のある方はぜひビルドして、フィールドへ連れ出してみてください。
また、B-Foxをイベント・謎解きなどで使ってみたいという場合は、お試し・貸し出し・技術サポートなどInstagramなどでご相談いただければと思います。