乳がん闘病記 000.はじめに

日本人女性は、12人に1人は乳がんになります。(※1)
乳がんの5年生存率は、他のがんの平均値を上回っており、治療しやすい種類のがんではあるようです。
もっとも、発見が遅かったり、タチのわるい性質を持っていると予後が悪くなる場合があります。

※1:国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報サービス 最新がん統計>3.がん罹患(新たにがんと診断されること 全国推計値)_5)がんに罹患する確率〜累積罹患リスク(2010年データに基づく)より
http://www.jfcr.or.jp/cancer/type/breast.html

もし妻ナナが生きていれば今日で30歳になります。
彼女は、24歳3ヶ月に若年性トリプルネガティブ乳がんと診断され、27歳10ヶ月でこの世から去りました。

そもそも、ガン発病は人生の一大事なのか?(闘病日記より)

既に2年以上経ちますが、気持ちが落ち着いたので、こちらのブログで闘病中に得た知識や情報をまとめ、これから家族が乳がんと戦う人に対して情報を共有することを主眼に記事を書いていきたいと思います。
少しでも正しい知識を持って病気と向き合いたいという思いから、闘病中にピンクリボンアドバイザー(認定NPO法人乳房健康研究会認定番号: 1615115032) を取得しました。
医師に聞いた内容や体験を元にできる限り正確な情報を記述していきますが、誤っている情報などもあることをご了承下さい。(記載当時の情報は2015年のものが中心となりますが、適宜最新の情報を追記・更新します)

ナナのブログ・日記と私の記録を主な情報源としています。
また、開示される情報について生前本人に確認をとっています。
ボディーケアセラピストへの道 [hatenablog.com]

そうそう、20代で乳がんというのは、珍しいからか、そういう方でブログを書いている方が結構いるのに驚きつつ、第三者が書いているものは見ないなあ、と思ったので、人がやっていない事をするのが好きな彼氏さんに、「私をネタに、ブログ書いてみない?」
と言ってみたところ、快くOKの返事。
―― ブログ引用

略歴

  • 2011年10月:左胸のしこりに気がつく(乳腺症と診断)
  • 2012年3月:就職。邪魔なので手術で切除することにした(35mm切除)
  • 2012年5月:乳がん告知 (24歳) [ステージIIIa期]
  • 2012年6月:再手術(リンパ節郭清)
  • 2012年8月:抗がん剤開始(FEC療法)
  • 2013年2月:定期検査(転移無し)、放射線照射開始(5月まで)
  • 2014年10月:右鎖骨にしこり発見、手術
  • 2014年11月:乳がん再発告知。余命一年宣告。延命のためケモ再開 [ステージIV期]
  • 2015年12月:死去 (27歳)

闘病記一覧


(2026-08-22) 追記:闘病から10年が経過して(乳がん治療の変遷)

ナナが旅立ってから10年以上の歳月が流れました。 当時(2012年〜2015年頃)はトリプルネガティブ乳がんは標的となる薬がなく、予後が非常に厳しいとされていましたが、この10年で乳がんの診断技術や個別化医療、薬物療法は目覚ましい進化を遂げています。

これから乳がんと向き合う方々に向けて、当時の状況と現在の大きな違いについて、いくつか触れておきたいと思います。

1. トリプルネガティブ乳がんの細分化と治療標的

かつては「3つの受容体が陰性」という消去法的な分類で一括りにされていましたが、現在は遺伝子解析やバイオマーカーの研究が進み、さらに細かいタイプ(Basal-like型、免疫関連型、間葉系型、アンドロゲン受容体陽性型など)に分類されるようになりつつあります。それぞれの特徴に応じた新たな治療アプローチが開発されています。

2. 新たな薬物療法の登場

  • 免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブなど):
    がん細胞が免疫にブレーキをかける仕組みを解除する薬剤。PD-L1陽性のトリプルネガティブ乳がんに対して、術前・術後療法や再発・進行時の標準治療として保険適用されるようになりました。
  • PARP阻害薬(オラパリブなど):
    BRCA1/2遺伝子に変異がある遺伝性乳がんに対して、DNA修復機能を狙い撃ちにする薬剤が実用化されました。
  • 抗体薬物複合体(ADC:エンハーツ、トロデルビなど):
    抗体に抗がん剤を結合させ、がん細胞へダイレクトに強力な薬剤を届ける新薬。HER2低発現(HER2-low)やトリプルネガティブを対象とした画期的な選択肢が広がっています。

3. 遺伝子検査(HBOC)と個別化医療の保険適用

当時は自費診療(約28万円)だったBRCA1/2遺伝子検査や、変異が見つかった場合の予防切除(乳房・卵巣卵管切除)、高濃度乳房に対する造影MRI検査などが、現在では一定の条件のもと保険適用となっています。また、がんゲノム医療(がん遺伝子パネル検査)により、患者一人ひとりの遺伝子変異に合わせた薬を選ぶ「個別化医療(プレシジョン・メディシン)」が進展しています。


この闘病記は当時のリアルな記録として残していますが、医学は着実に前進しています。今まさに闘病されている方やご家族にとって、少しでも過去の教訓とこれからの希望の両方を届けることができれば幸いです。

最終更新 2026年8月22日土曜日

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