トリプルネガティブとは
乳がんは、いくつかのタイプ(サブタイプ)に分類することができます。
これを知ることで、今後の治療方針を決定したり、予後を予測することができます。
ナナの乳がんは、最も予後が悪いとされる「トリプルネガティブ」というタイプでした。
乳がん細胞は、増殖に影響する特性があり、以下のような受容体・タンパク質が検査の対象として挙げられます。
- エストロゲン受容体(ER)
- プロゲステロン受容体(PgR)
- HER2タンパク
これらの物質にがん細胞が反応するか調べることで、抗がん剤の種類や治療方法を決定します。
ERとPgRが陽性の場合は女性ホルモンを取り込んで増殖するため、ホルモン治療が効きます。(Luminal A/Bタイプ)
HER2タンパクが反応する場合は、ハーセプチンなどの特効薬(分子標的薬)で治療を行います。(HER2-enrichedタイプ)
そして、これら全てに反応しない(陰性)の場合、上記の治療が効かず、抗がん剤のみで対抗するしかない「トリプルネガティブ(Triple-negativeタイプ)」となります。
| サブタイプ | ホルモン受容体 (ER/PgR) | HER2タンパク | 主な治療法 |
|---|---|---|---|
| ルミナールA型 / B型 | 陽性 (+) | 陰性 (-) | ホルモン療法(抗ホルモン剤)を中心に行う(B型は抗がん剤併用も) |
| HER2陽性型 | 陰性 (-) / 陽性 (+) | 陽性 (+) | 抗HER2分子標的薬(ハーセプチン等)+ 抗がん剤 |
| トリプルネガティブ型 | 陰性 (-) | 陰性 (-) | 化学療法(標準的な抗がん剤)のみ |
このタイプには以下の特徴があります。
- 増殖スピードが早く、転移・再発しやすい
- 若い世代での発症割合が高い
- 治療標的が存在しないため、再発した場合の予後が非常に悪い
2012年8月
妊孕性温存(採卵)と並行して、再手術で切除した組織の詳しい病理検査結果が出ました。
ここで正式に「トリプルネガティブ」であることが主治医より伝えられました。
乳がんと告知された当初は、乳がんは治りやすい病気だという認識がありましたが、このサブタイプの結果を聞いて、今後の治療の厳しさを痛感することになりました。
若いからこそ進行が速いのではないかという不安もありましたが、今できる標準治療(抗がん剤と放射線)をしっかりやりきるしかないと腹をくくり、次のステップへと進むことになりました。
次回は、このトリプルネガティブに対して行った抗がん剤治療と放射線治療について書いていきます。
用語解説
乳がんのサブタイプ
がん細胞の性質(ホルモン受容体やHER2の有無など)によって分類し、効果的な治療方針を決定する指標となります。 http://www.nyugan-infonavi.jp/senmoni/yakubutsu3.html
トリプルネガティブ
乳がんのサブタイプの1つ。ER陰性・PgR陰性・HER2陰性のもの。ホルモン剤やHER2標的薬が効かないため、化学療法(抗がん剤)が治療の中心となります。遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)との関連も指摘されています。
Ki-67
がん細胞の増殖活性(細胞分裂のスピード)を示す指標。数値が高いほど進行が早く、抗がん剤が効きやすい傾向があります。