アマチュア無線 関東地域での430MHz帯(FM/D-STAR GW経由)での音声交信例

アマチュア無線局を開いだが、傍受もあまりできないしどうやって交信したらいいかわからないという方向けに、私(JL1HMT)が使っているアマチュア無線台本を元に交信例を作成しました。
CQ出版社の方に教わった内容と、書籍『アマチュア無線開局運用マニュアル(電子工作マガジン編集部)』がベースとなっています。

今回の更新例のバックグラウンドは以下の通りです。

  • 関東地域
  • 430MHz(UHF)帯
  • FM もしくは D-STAR GW経由

上記の条件から外れる、HF帯やコンテストなどの場合はこれとは異なる交信方法が用いられていますので、別の資料を参考にしてください。
また、この記事の交信の例については、あくまで一例ですので、他の情報も確認して、自分用の「交信カンペ(台本)」を作っておくと安心です。

今回の交信例では意図的に専門用語を減らしていますが、Q符号や無線用語をある程度知っておくと、実際の交信がよりスムーズになります。 参考:アマチュア無線用語(Q符号・略語)https://www.ne.jp/asahi/yokohama/cwl/word.html

交信の基本的な作法

実際の交信に入る前に、基本的な作法を押さえておきましょう。 交信を行う際に、誰が誰に向けて話しているかを明確にするため、以下のように相手のコールサインと自身のコールサインを挟むのが慣習となっています。

基本フォーマット

<相手のコールサイン>、こちらは <自分のコールサイン>。
<交信内容>
<相手のコールサイン>、こちらは <自分のコールサイン>。どうぞ。

このように、話し始めと話し終わりにお互いのコールサインを含めるようにします。

1回の交信送信における内容の長さについて

上記の通り、毎回コールサインを名乗るため、日常会話のような短い一問一答(「元気?」「元気だよ」のような会話)だと効率が悪くなってしまいます。そのため、答えに理由や背景を一言添えたり、複数の話題(30秒〜2分程度)を詰め込む(英会話や長めの留守電を入れるような)スタイルが一般的です。

もちろん、話題が思い浮かばなければ無理に長く話す必要はありません。短く返しても問題ないので安心してください。

交信例 登場人物

今回は以下の設定で交信例を記載しています。

  • CQを出す側:JL1HMT(東京都大田区)べっきさん
  • 応答する側:QJA1EX(東京都豊島区)〇〇さん

応答する側のサンプルコールサイン QJA1EX について

Webの標準仕様で言うexample.com(RFC6761)といった例示用のドメインのような決まりは見当たらなかったため、ここでは Qから始まるコールサインをサンプルとして使っています。
国際電気通信連合(ITU)の無線通信規則により、Q から始まる3文字(QAA-QZZ)はQ符号(通信略号)として予約されており、どこの国の国籍識別にも割り当てられないと決まっているためこのようにしています。

430MHz FM交信例

430MHz FMモードでは、CQを呼び出すための呼び出し周波数(メイン周波数)と、実際に交信するための交信周波数(サブ周波数)を使い分けるのが基本です。
先に誰も使っていない交信用周波数を本当に誰も使っていないか、チェックして使っている人がいないことを確認します。

交信周波数確保(例 433.12MHz)

JL1HMT:
こちらはJL1HMT、周波数チェック、周波数チェック。どなたかお使いでしょうか? どうぞ。

数秒待って応答がないことを確認する。(※1)
誰かが利用している場合は「利用中です」と応答が返ってきますし、自身が使っているのであれば応答してください。

CQ送信(呼び出し周波数:433.00MHz)

JL1HMT:
CQ CQ CQ
こちらはJL1HMT、ジュリエット・リマ・ワン・ホテル・マイク・タンゴ、東京都大田区です。
どなたかお聞きの方いらっしゃいましたら、433.12MHz、four thirty-three point one two で待機します。

(※2)(※3)

CQ送信(交信周波数:433.12MHz)

交信周波数に移動し再度CQを呼びかけます。

JL1HMT:
CQ CQ CQ
こちらはJL1HMT、ジュリエット・リマ・ワン・ホテル・マイク・タンゴ、東京都大田区です。
どなたかお聞きの方いらっしゃいましたら交信をおねがいします。
こちらはジュリエット・リマ・ワン・ホテル・マイク・タンゴです。どうぞ。

応答

QJA1EX:
JL1HMT、こちらはQJA1EX
ケベック・ジュリエット・アルファ・ワン・エコー・エクスレイです。
とれますか? どうぞ。

レポート交換・交信

JL1HMT:
QJA1EX、こちらはJL1HMT。
お呼び出しありがとうございます。運用場所は東京都大田区です。
レポートはファイブ・ナインです。オペレーターはべっきです。
無線機はID-50、付属ホイップアンテナで出力2.5Wです。
QJA1EX、こちらはJL1HMT、どうぞ。

(※4)(※5)

QJA1EX:
JL1HMT、こちらはQJA1EX。
こちらこそありがとうございます。
運用場所は東京都豊島区です。レポートはファイブ・ナインです。
オペレーターは〇〇です。
JL1HMT、こちらはQJA1EX、どうぞ。

終話

JL1HMT:
QJA1EX、こちらはJL1HMT。
本日は交信ありがとうございました。さようなら。

QJA1EX:
JL1HMT、こちらはQJA1EX。
こちらこそありがとうございました。さようなら。

続けてCQする場合

JL1HMT:
こちらはJL1HMT。他に交信できる方いらっしゃいますか? どうぞ。

(※6)

注釈

※1 周波数チェック 送信を開始する前に、その周波数を他の局が使用していないか確認するための呼びかけです。スケルチを開いて弱い信号がないかも確認しましょう。

※2 呼び出し周波数と交信周波数の使い分け 通常、CQは多くの人が聞いている「呼び出し周波数(433.00MHz)」で出し、空きを確認しておいた「交信周波数(この例では433.12MHz)」へ移動して交信を行います。関東地域(東京都内)ではあらかじめ交信用周波数を確保することが多いですが、地域によっては呼び出し周波数で交信が確立してから、交信周波数に移動することもあるようです。

※3 コールサインをフォネティックコードで伝える アルファベットをそのまま発音すると、「B」と「D」、「M」と「N」など似た音を聞き間違えることがあります。フォネティックコード(https://www.jarl.org/Japanese/6_Hajimeyo/start_ham.html)を使えば、電波状態が悪い場合やノイズの多い環境でもコールサインを正確に伝えることができます。

※4 RSレポート 了解度(Readability)を1〜5、信号強度(Strength)を1〜9の数字で表します。「5・9(ファイブ・ナイン)」は了解度・信号強度ともに最高で、明瞭に届いているという意味です。信号強度が悪くても完全に交信内容が理解できれば5・1で、信号強度が強くても音量が小さかったり混信していたら1・9もあり得ます。正直なところかなり適当にこのくらいかな?という数値を言うことが多いです。

※5 運用設備の紹介 無線機・アンテナ・出力を伝えることで、相手局との情報交換になります。特にハンディ機や少ない出力で運用している場合、それを伝えると相手局が受信しにくい時に配慮してくれることもあります。

※6 続けてCQする場合 同じ周波数で引き続き交信相手を募集する場合、改めてフルのCQを出さずに短く呼びかけることも可能です。

D-STAR交信例

D-STARのゲートウェイ(GW)機能を使うと、離れたレピーター同士でも交信できます。 ここでは、JL1HMT局が東京都大田区の平和島公園から移動運用を行い、品川430レピーターから巣鴨430レピーターへGW経由でCQを出す例を紹介します。

D-STARレピーターのチェック

D-STARレピーターの周波数に合わせ、PTTを押しUR?を確認する。

CQ送信

JL1HMT:
CQ CQ CQ
こちらはJL1HMTポータブルワン、ジュリエット・リマ・ワン・ホテル・マイク・タンゴ・ポータブルワン、品川430から巣鴨430に向けてCQを出しています。
どなたかお聞きの方いらっしゃいましたら交信をお願いします。
こちらはJL1HMTポータブルワン、どうぞ。

(※1)(※2)(※3)

応答

QJA1EX:
JL1HMTポータブルワン、こちらはQJA1EX
ケベック・ジュリエット・アルファ・ワン・エコー・エクスレイです。
とれますか? どうぞ。

レポート交換・交信

JL1HMT:
QJA1EX、こちらはJL1HMTポータブルワン。
お呼び出しありがとうございます。運用場所は東京都大田区移動の平和島公園です。
メリットはファイブです。オペレーターはべっきです。
今日は天気が良いので移動運用に出てきました。
品川レピーターまでは約1.7kmです。
QJA1EX、こちらはJL1HMT、どうぞ。

(※4)(※5)

QJA1EX:
JL1HMT、こちらはQJA1EX。
こちらこそありがとうございます。運用場所は東京都豊島区です。
メリットはファイブです。オペレーターは〇〇です。
GW経由でもクリアに届いていますね。移動運用お疲れさまです。
JL1HMT、こちらはQJA1EX、どうぞ。

終話

JL1HMT:
QJA1EX、こちらはJL1HMT。
本日は交信ありがとうございました。さようなら。

QJA1EX:
JL1HMT、こちらはQJA1EX。
こちらこそありがとうございました。さようなら。

D-STAR 注釈

※1 D-STARのゲートウェイ(GW)機能 インターネット回線を経由して、離れた場所にあるレピーター同士を接続する機能です。これにより、通常の電波では届かない遠距離の局とも交信できます。

※2 レピーターの指定方法 「品川430から巣鴨430」のように、自分がアクセスするレピーターと相手側のレピーターを明示してCQを出します。

※3 デジタル通信のコツ(頭切れ防止) D-STARの場合は、送信ボタン(PTT)を押してすぐに話し始めると、最初の言葉が相手に届かないことがあります。ボタンを押してひと呼吸(約1秒)置いてから話し始めると良いです。

※4 メリット D-STARなどのデジタル通信では、RSレポートに代わり「メリット」で了解度を伝えます。1〜5の5段階で、メリット5は最も明瞭に届いていることを意味します。

※5 移動運用時のコールサイン追加サフィックスについて 常置場所以外から運用する場合、慣習としてコールサインの後ろに追加サフィックスとして ポータブル と 地域番号 をつけることが一般的です。関東エリアの場合は「ポータブルワン」となります。

次の一歩を踏み出そう

この交信例が初めてのオンエアの助けになれば幸いです。最初は誰でも緊張しますが、これらの基本の言い回しを参考に交信してみましょう。

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