IoT機材の開発で100Vを使いたい・オシロスコープのために接地極付きコンセントに付け替えたいという理由が発生したため、第二種電気工事士の資格を独学で取得しました。せっかくなので所感を残しておきます。
この記事が参考にならない人
- 握力に自信がある
- 電気工作非経験者
この記事を書いたヤツ
- 握力が26kgf
- 電気工事に関係ない仕事に就いている
- 工業高校卒(非電気)
- 簡単なデジタル回路設計・実装ができる
- 勉強前は強電(and交流)はほぼ知識が無かった
大まかな第二種電気工事士への道
第二種電気工事士になると、合法的に家庭内の電気配線をいじることができます。(無資格工事は電気工事士法 第十四条に触れ、3月以下の懲役または3万円以下の罰金)
独学で取得する場合は5万円ほどかかりますが、それをクリアできれば簡単に取得できる資格という印象です。
- 年2回試験が行われる (上期3月中旬 下期8月中旬あたりに申し込み開始 Web申込で9300円)
- 筆記試験(4択マークシート/60点以上で合格)を受ける
- 筆記試験に合格したら技能試験(実際に40分内にパーフェクトで施工できれば合格)を受ける
- 工具と技能試験練習の材料で3~4万円ほどかかる
- 合格後、免許を申請するのに全て込みで6000円程度かかる。
筆記試験対策
テキストは必要だろうと思い、お勧めとしてよく挙げられる以下のテキストを購入しました。
2023年版-ぜんぶ絵で見て覚える第2種電気工事士筆記試験すい-っと合格
https://www.amazon.co.jp/dp/4910351027
これ、計算問題は捨てる前提で合格基準点(60点)を取るという目標であれば悪く無いテキストだと思います。個人的にはイラストや配置が分かりやすいとは言い難く、電気工事の知識が体系的に記載されていないので、結局ネットで検索して学習していました。非常にストレスが溜まったので、本屋で自分に合ったテキストを比較検討するのが良いと思います。
さらに言うと、ネット上の対策用コンテンツが無料で利用できるので、テキストを買わなくても十分だと感じました。
過去問についてはスマートフォンアプリ電工試験の虎 公式アプリで隙間時間を使って勉強できました。 https://www.hozan.co.jp/corp/pg/1sns/
また、電気器具の図面記号は全くわからなかったので、現物と比較して覚えるために早めに技能試験のセットを購入して実物を見て覚えることにしました。技能試験候補問題は1月下旬に発表されるようなのでそのタイミングで購入しても良いと思います。また、候補問題の内容は平成29年度以降変わっていないようです。
筆記試験の結果は94/100点(自己採点)で合格しました。
技能試験対策
技能試験対策も独学で行いましたが、自身で欠陥に気づくことは難しいと思います。電気回路制作に慣れていなければ、講習を受けに行くのも一つの手だと思います。
独学の場合は、電気工事試験公式の欠陥判断基準を読み込む必要があります。
https://www.shiken.or.jp/candidate/handankizyun.html
技能試験で利用する工具は自身で用意したものを持ち込む必要があります。
私は握力が弱い(26kgf)という問題があったので、それを考慮した機材選びをしました。
ゴム手袋
いきなり指定工具でない装備の登場ですが、装備するだけで握力が強化されるアイテムです。練習中も常に装備して、手袋をした際の感覚に慣れるようにしましょう。手先の感覚が鈍るとは思いますが、実技試験にそれが影響するほどの繊細な作業はありません。被覆やリングスリーブの処理で確実に対象物を掴めるメリットの方が大きいです。
ショーワグローブも悪くないですが、3Mのコンフォートグリップグローブが最も使いやすく感じました。(サイズだけでなく色も5色から選択可能) 参考URL http://oyaideshop.blogspot.com/2021/12/3m.html
リングスリーブ用圧着工具
握力が弱い人は ツノダ TP-R 一択です。メーカー別に取り寄せ検証した結果を掲載しています。
大サイズに対応していないコンパクトタイプも試しましたが、小以上のサイズは片手では圧着できず、両手での作業は小ささゆえに圧着しにくかったため、フルサイズの方が良いと感じています。
これに関しては、ミノル工業株式会社でも握力がない人に向けてはフルサイズのものを推奨しています。
ペンチ
こちらも握力対策のために、フジ矢の革新的ペンチ 6050-200にしました。
切れ味は抜群です。電気工事士工具セットに含まれるペンチは切断能力がΦ2.0x2程度ですが、これはΦ2.6×3となっています。ランプレセプタクルや露出型コンセントで必要な電線の輪っか作りも問題なく行えます。(先端幅13mm)
VVFストリッパー
ハサミタイプは握力がないと調整が厳しいと感じたので、今回は機械式のVESSEL VA線ストリッパー No.3200VA-1 を選択しました。1.6mmと2.0mmのVVF 2・3芯を剝くことができます。握力はあまり必要ありませんが、長く使うと中指が痛くなるのが欠点。とはいえ、作業スピードはかなり上がります。線の長さは目視で行う必要があるので要練習です。また、VVRは処理できないため電工ナイフを用意する必要があります。
その他握力とは関係なく、有ってよかったもの。
ツール入れは膝の上に置いて使えるよう自作しました。
膝の上に置こうとすると横幅かあるツール入れが必要になりますが、机に置かないことで状況に左右されない利点があります。また、腰袋を利用するのとは違い、工具を元の場所に戻すことを意識する必要がないため、持ち替えスピードが格段に上がるのが大きなメリットです。これは機械式VVFストリッパーとペンチを組み合わせて使う場合に威力を発揮します。
この手法を採用する人は、自作の工具入れかSK11のSSB-1536を導入していることが多いようです。
技能試験練習セット
電工石火シリーズを購入しました。
電気工事士 技能試験 セット 【 2種 1回練習分 電線 器具+テキスト セット 】
1回2回練習分関わらず、差し込み型コネクタ(2/3/4)は再利用前提の数しか入っていないので、使い捨て前提で別途購入した方が良いです。
利用したテキスト
上記、技能試験セットに付属したテキストで学習しました。
https://www.amazon.co.jp/dp/4485214850
2022年版-第二種電気工事士技能試験候補問題丸わかり-電気書院
作業手順の説明がわかりやすく、優秀なテキストだと思います。(複線図については確認していないので評価外)
練習は1周 + ホームセンターでVVFを追加購入し1 5 7 10 12を練習。1回目から25分(候補問題No.1)でできていたので、それ以降練習してもあまりタイムを縮めることはできませんでした。
複線図について
はじめに断っておきますが、既存の知識で対応できたため複線図についてはほぼ勉強していません。
また、第二種の技能試験候補問題は単純なものが多いので、スピードを優先にするのであれば複線図なんか書かなくて良いと思います。ただ、施工条件が練習とは違う可能性があり、複線図を書く時間を削減させても時間が余ってしまうことが想定されたので、念のため書くことにしました。
今回は、自己流のなるべく線を書かない方法を書き記しておきます。
- 線の色分けはしない。(電源の非接地側:L記号のみ書いてました)
- 線は切断長のみ記入(計算してから記入することで切断長ミスを無くす・2.0 VVRなどは別途記入)
- VVF用ジョイントボックスの枠は記入しない
- リングスリーブは○ 差込形コネクターは△で記入
(例)令和5年度(2023年)第二種電気工事士技能試験候補問題 No.1
世の中の複線図の書き方を見ると、Neutral側から書く流派が多いようですが、私はLive側から書いていました。色分けや、B/Wを各配線に書いたり、線の切断長以外の数字を書くパターンもありますが、余計な情報が増えるとミスに繋がると思ったため、最低限の要素のみを書き出すことにした結果がこの複線図となります。
技能試験を実際に受けてみた感想
候補問題12が出ました。この問題は最後に練習した問題だったため、落ち着いて作業を進めることができました。
席は横に長いテーブルで奥行きが420mmほど。だたし、椅子が固定でテーブルが右端だったため、練習とは逆の位置に資材を置くというイレギュラーが生じました。(特にトラブルは発生しませんでしたが、練習と異なる状況は避けたいです)。イレギュラーといえば、埋込連用タンブラスイッチ・コンセントがPanasonic製で練習で使っていた明光社のものとストリップ長が異なっていました。(Panasonic10mm 明光社16mm)材料確認の時に確認しましょう。
作品自体は15分ほどで完成してしまったので、試験終了までとにかく暇でした。40分は足りないという声もありますが、工具による工作の経験がある人にとっては余裕だと思います。ただし、多くの人は最後まで手を動かしていたり、間に合わない人もいたので、余裕を持つためにも機械式VVFストリッパーがあると安心できると思います。
周辺の受験者は、ほぼホーザン社の工具セットを利用していました。また、手袋を使っている人は存在しませんでした。みんな握力あるんだな……
技能試験備考
- 定規などをマステで固定する場合は試験開始以降に可能です。
- 奥行き360mm 幅500mmの厚紙が保護板として用意されています。特に質問しませんでしたが、この保護板の上で作業をすることが求められるようです。試験開始時に、ポリ袋と合わせてマステで固定するのが良いでしょう。
- 23年度の試験から帽子を脱ぐ必要があるということでした。
- 材料確認のタイミングから手袋を使いましたが、それは特に問題なさそうです。
- 隣の人が材料確認時に問題用紙を開いていたようですが、監督官に注意されているだけでした。試験完了後も圧着端子工具の音が10秒くらいしていた。ゆるい……
- ポリ袋が支給され、端材や剥いた被覆を入れて良いと言われましたが、片付ける必要はないようです。ちなみに試験終了後に片付けの時間はありません。(ぐちゃぐちゃで放置していた人も居たので、余裕があれば片しましょう)
- リングスリーブがニチフ製でなかった。すずメッキが薄くて傷が入りやすかったです。
技能試験練習で使用した銅線の行方
被覆を全て剥がして銅線のみにし、個人取引可能な金属買い取り業者(川村金属株式会社)に持ち込みました。2023年7月時点で1.8kgほどの銅線(特号)が2000円になりました。(試験練習約17回分)